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クソ映画祭

来たる日に開催されるクソ映画祭の映画選定用の作品紹介

貞子3D

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ここのところ素晴らしいB級映画を紹介してしまい、苦行の中の喜びを連続して提供してしまった事に若干の負い目を感じ、おいおいこれはヤバイぞという作品を挙げようと思い立ちました。
それがこちら「貞子3D」です。
ジャパニーズホラーの金字塔である「リング」シリーズの本作。公開初週、これはヒドイぞ、みんな見てみなよ、という口コミが評判を呼び2週目も動員が落ちなかったという話はあまりにも有名です。

こちらは今年の話題作「シン・ゴジラ」にも謎のカタカナ名でご登場の石原さとみ主演で、とあるサイトにアクセスすると死ぬ、というシンプルなホラー映画の手口、にしておけばよかったのに変な装飾をつけ過ぎて恐怖が唖然呆然に。結構前に鑑賞したので確認の為に調べたところ、貞子の恐怖解除用ありがとうございました、というレビューも見かけました。コメディ・パロディ的な作品なのです。
しかしコレ、狙って作られたモノで「ハンサム★スーツ」「高校デビュー」「行け!男子高校演劇部」に続き英勉氏が監督を務めた為、要素として笑える部分もお約束の部分も見る事が出来ます。

貞子が増殖し変化し、それと鉄パイプ片手に戦う凛々しい石原さとみ、それがこの映画の醍醐味です。
おや、と思った方、そうですパニックムービー、モンスタームービーと同じロジックが使われています。怖い作品「残穢」もそうでしたが、お化け幽霊が出てくると安心できる優しい設計はホラー映画が苦手な方にうってつけです。

ちょっと面白そうだな、と思われた方に注意喚起したいのは見所だけを集めると10分程度で、だいぶ時間を持て余してしまうことになります。是非お時間のある時に余裕を持ってご覧いただければと思います。

いやぁ、クソ映画って素晴らしいですね。

アイドル・イズ・デッド ノンちゃんのプロパガンダ大戦

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今も昔もアイドル主演は数多くあり、玉石混合、良いモノ悪いモノが数多ひしめいている映画産業。
地雷、沼、などと揶揄されるグラビアアイドル主演のVシネ、小説・漫画の低予算映画化、新人監督によるアイドルの青春ムービーなど、本当につまらないモノから驚くほど作家性の高い作品まで、今やそのジャンルだけでも死ぬまでに全部見られないほどの膨大な本数が制作されています。その中で選ぶならばこの「アイドル・イズ・デッド ノンちゃんのプロパガンダ大戦」でしょう。
ここのところ毎年開催されている企画上映MOOSIC Lab.はサブカルチャーとして認知度の高い、アイドル、バンド、グループ、ミュージシャンと、新進気鋭の監督とのコラボレーションが面白く、話題になった作品が個別に上映される機会も増えてきています。
その前身となる企画で好評だったのでしょう、続編として公開されたのがこちらの「アイドル・イズ・デッド ノンちゃんのプロパガンダ大戦」です。

解散してしまったBiS主演の本作は、様々なオマージュに加え、通常アイドルにはやらせないような型破りなエキセントリックさに溢れており、他のアイドル映画にはない泥臭い雑多感が素晴らしいです。ひとつ前の「ニンジャチアリーダー」にも共通しますが、低予算という現実性の不備をむしろ効果的に見せてしまうのはクソ映画として魅力的で、社会問題を扱っているけれどガン無視という姿勢は見ていて清々しい気持ちになります。

ただ、この映画はあまりツッコミを入れる部類ではなく、見て楽しめ、最後は研究員と呼ばれるファン達の熱量によって最高のライブシーンの撮影に成功しており、加えて監督自身のB級映画好きの才気をところどころで感じてしまうほど、見方によっては傑作と言っていい作品です。

クソ映画祭の目的は、見て失敗した時間を返してほしい作品の紹介、ではなくなんだよコレ!最高に訳分からないよ!最高じゃん!という共有できるカタルシスも提供していければ、と思います。

いやぁ、クソ映画って素晴らしいですね。

ニンジャチアリーダー

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みんな大好きニンジャ。みんな大好きチアリーダー
それを合わせて「ニンジャチアリーダー」というこちらの作品。

あらすじの前に注意したいのは、こちらは「チアリーダー忍者」ではありません。
よくクソ映画紹介サイトに登場する安心の地雷アルバトロス(現在は一部を除きいたってまとも)で、2000年代の代表に挙げられている「女子高生チェーンソー」「女子高生ロボット戦争」と並ぶ「チアリーダー忍者」は米男子高校生がホームビデオで撮影し、何かエロい事とか言えば面白いだろという発想のもと変なギャグ満載の作品です。ここまで紹介してきた作品群とはある意味一線を画すつまらなさは、強度のクソ映画耐性を必要としますので我こそは!という方はこの忍者がほとんど関係ない映画を満喫していただきたいと思います。

話は逸れましたが、その「チアリーダー忍者」とほぼ同じタイトルの「ニンジャチアリーダー」は正直なところB級映画でクソ映画の趣きを持ちつつも、普通に見れるという稀有な作品となっています。
あらすじは女子高生3人組の物語で、密かに忍者に師事しており高校ではチアリーディングに励んでいます。大学進学への資金をナイトクラブで集めているのですが、ある日師匠が何者かに攫われます。師匠を探し、不良を倒し、チアリーダーとして試合を応援し、ナイトクラブのコンテストに参加し、師匠を攫った組織と戦うというごった煮の内容をかなりのテンポで詰め込んだところ、クオリティ自体は低いながらも楽しめる作品となってしまいました。そして忍者要素(カラテ)もあります。嬉しいですね。

ですので、クソ映画祭のテイストを活かしながらも、クソ映画レベルが高い作品にツッコミ疲れた時の箸休めとしてこの作品を挙げた次第です。
そんな優しさはいらない、もっともっと酷さを享受したい、という方は冒頭で挙げた3作品の中から選んで頂ければと思います。

いやぁ、クソ映画って素晴らしいですね。

ムカデ人間


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カルト人気を博し、現在改装中の新宿武蔵野館にてレイトショーでも好評だった本シリーズ。
この後に同じテイストの「ザ・タスク」も制作されました。人体改造のトンデモ作品では筆頭といえるでしょう。

ある博士の豪邸に車のアクシデントで助けを求める2人の女性が訪れます。話の節々に異様さを匂わす博士。このハイター博士は循環システムとして人間の口と肛門を縫い合わせる「ムカデ人間」を考案し、その実験体を待っていました。先に捕獲した日本人男性を加え、三位一体のムカデ人間を作り、調教し自分の傑作として世に知らしめようとするのですが…。

上記の簡単なあらすじ自体はホラー映画の亜流といった形なのですが、この「ムカデ人間」シリーズの最大の魅力は、どう考えても頭のおかしいムカデ人間製作者サイドの狂気の演技力です。
1は紳士然としながら徐々におかしい様を見せ時々チャーミングにムカデと戯れる、キャラクターとしての像がしっかりと表現されています。同様にムカデ人間の頭を演じる北村昭博も、関西弁で煩く喋り倒すヤクザキャラが対比としてとてもB級的でいいです。
2はもう狂気そのもの。白黒の映像にしたのは正解で、カラーだと陳腐にも汚らしくも見えてしまうところを大きくカバーしています。2は1がDVDで再生され虚構だと分かっているけれどハイター博士を慕う敬虔な信者であるローレンス・R・ハーヴィー演じるマーティンが、いつかムカデ人間を作りたいと思っており、マーティンに嫌悪感を抱いている(と思われる)人間を襲い気絶させ集め、12位一体のムカデ人間を作るというお話です。このローレンスが実に奇怪で最高です。被り物なしのモンスターと言ってもいいでしょうし、台詞がないにも関わらずこの気持ち悪さは凄い。正直1を期待して2を見ると全く笑えないと思います。
3は狙い過ぎて面白味が消えています。1・2の要素を無視し、コメディテイストで博士とマーティンがとある刑務所の所長と助手という立ち位置で登場し、ハイター博士はブチ切れキャラに、マーティンは弱腰ながら刑務所の懐事情の悪化の改善案として囚人を全て繋ぐムカデ人間を提案するというお話なのですが、あまりにもハイター博士のブチ切れ感が終始画面を支配してしまい、微妙な間のテンポの悪さや悪辣さの提示などでムカデ人間側のインパクトが薄くなってしまっていました。同じテイストではやらないとは思っていましたが、気に入る作品ではなく少々残念でした。とはいえ、ムカデ人間1・2を囚人に見せ、人間のやる事じゃないと言わせる自虐などは嫌いではないです。

というわけでざっくりと紹介しましたが、こちらのムカデ人間はクソ映画ではなく糞映画というほうがいいでしょう。シリーズ通してスカトロ表現が必ず登場します。とはいえトロマの「チキン・オブ・ザ・デッド」のように音に不快感は少ないので身構える必要はそこまでありません。
笑いの要素をとるならば1以外の選択肢はないでしょう。3のナンセンスさは正直あまりに色が強すぎて笑いにくいでしょうし…。
ムカデ人間」シリーズは1時代のトンデモ作品として後世に残る気もしていますので、気になったら全部見るのもいいかと思われますが、R18ですので特に2はまともな人とは見ない方が正解でしょう。

いやぁ、クソ映画って素晴らしいですね。


デビルマン

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クソ映画として現在最も権威のある本作。
楽しめる要素が原作との比較だけであって酷さを笑う事しかできないのですが、クソ映画祭という旗を掲げる以上、候補から外す事はできません。

演技が酷い、何を言ってるかわからない、そんな俳優でキャストの多くを占め、当時人気の絶頂を少し外れたボブサップをゲストとして採用、ニュースキャスターに仕立て上げたのは好意的に評価できますが、その後の展開のつまらなさは圧倒的です。
話の駆け足具合もよくないのですが、ある程度資金があったにもかかわらず、CGは雑で貧相。
原作に愛がある程悲嘆に暮れるという状況にあります。

正直なところ、見ていて他の方々が言うほどこの作品を取り挙げる意味というのが思い当たらないのは、単に失敗なのだからかもしれません。
クソ映画は盲目的に作られ、良識をそこに当てはめた時に爆発力を持つべきモノであったほうが面白いのですが、こちらは様々な制約の結果が悪い方だけに作用し、どうにもならないままクランクアップを迎えた末路なのかとも思います。
経験として、反面教師として、この作品は価値があるんですね。

いやぁ、クソ映画って素晴らしいですね。

シベリア超特急

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眠くなる、つまらない、というレッテルを貼られ駄作として捉えられがちなシベ超シリーズ。
ですが水野晴郎という愛すべきキャラクターを面白がれるようになれれば、「デビルマン」がその地位を確立するまで、日本代表のクソ映画はこの「シベリア超特急」だったとわかるはずです。

シベ超に毒されてしまった身としては、水野晴郎が喋るだけで爆笑できるほど笑いの沸点が低くなっているので正確に判断するのは不可能なのですが、それを踏まえてもこのシベ超は趣きに溢れた作品です。
逸話が多く、去年のシネマカリテでの特集上映では本公開前のフィルムを使用しての上映だったのですが、字幕の焼き付け現像液をケチり字幕が赤く変色。スーパーバイザーとして市川崑がクレジットされているものの、このフィルムを見て「名前消しといてね」と言い去っていく、あまりにつまらないと話題になりとある会場では怖いもの見たさに満員など、話が尽きないのも流石と言えます。

シベ超の見所は多々ありますが、柱としては水野晴郎の神がかった棒読みと、どんでん返しの2つになります。DVDでは本編上映前に水野晴郎の自画自賛も収録され、その楽しそうな解説に口を挟むのを躊躇うほどです。「シックス・センス」を見たけれどシベ超をその前に見ていたので驚かなかったという話を聞いた、と自らハードルを上げる様はいつ見てもいい笑顔で趣きがあります。

内容としては、ロシアから満州鉄道に乗り帰国の途に着く山下奉文閣下(水野晴郎)。同一車両に乗り込んだ乗客の1人が殺されてしまい、また1人と死んでいく。閣下暗殺が目的なのか、それとも乗客の中で何か事件が起こっているのか…というお話。

ここまで水野晴郎が当たり前過ぎて説明を欠いていました。水野晴郎は映画評論家かつコピーライターでビートルズ主演映画「a hard days night」を「ビートルズがやってくる、ヤァヤァヤァ!」の邦題に変えた張本人です。
さよならさよならさよなら、でお馴染みの淀川長治の映画塾にも通いキャリアを重ね、金曜ロードショーで解説もなさっていました。「いやぁ、映画って本当にいいものですね。」というキメ台詞とともに存在感のあるキャラクターでお茶の間に親しまれていましたが、2008年に肝不全でお亡くなりになってしまいました。

そんな水野晴郎が長年の夢であった映画監督・脚本・主演を果たしたのがこのシベ超シリーズです。腕を組んで座る姿が多く、「閣下、寝てます?」と言われるのはアドリブなのか、脚本なのか定かではないですが、近所のおじさんの初演技のレベルを維持し全6作にも渡る人気シリーズとなりました。
ファンの間で語り継がれる1、少しマシになった2、宇津井健などの演技力で普通に見れる3、たった1度のお芝居を映像化し「閣下、お時間が…」と故丹波哲郎とのアドリブトークが長く閉館時間を心配したキャストが割って入り閣下の飛んだ台詞を補佐する4、あまり記憶にない5、芝居2作目で問題があったのか所々黒塗りで画面の一部が覆われる7、と様々なバリエーションで魅了してくれるシベ超はとても趣きがある映画です。

水野晴郎の遺稿を汲み取った「シベリア超特急episode1」が撮る撮る詐欺と言われ12月18日公開予定だ、というお話でしたが現在も公開予定はなく、いちシベ超ファンとしては歯痒い思いをしています。いつか遠い未来に見る事はできるのでしょうか。

いやぁ、クソ映画って素晴らしいですね。



Kang Fury

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80年代の古き良きB級アクション映画を心から愛するアメリカの自主監督が、自費でパイロットフィルムを作りKickstarterで資金を募ったところ「おいおい、クソ最高じゃないか、俺にも金を出させろ!」となり、クソ映画愛好家達の支援を受け制作された映画です。
映画と言っても尺は30分弱しかないのですが、濃厚なネタの応酬にきっと満足できることでしょう。
ツッコミを入れる間も無く高速で展開し脈略がないことから、簡潔なセリフで次々とシーンが移り変わるところも素敵。
作品を支えるCGのコピペさも、80年代踏襲のシンセサウンドも、相棒がトリケラトプスでやたら声がいいのもぐっとくるものがあり、低予算にありがちな勿体振るところもないです。そのうえアニメやビット絵など、どうしてもやりたかった事を実現しているところに見ている側も喜びを感じてしまうことでしょう。

本作はYoutube上に作品がまるごとアップロードされていますので、是非ご覧になるか、よしクソ映画の繋ぎに爽やかなクソ映画を見たい、となった時のストックにしておくとよいと思われます。

いやぁ、クソ映画って素晴らしいですね。